2022年5月に実施した2022年度都道府県の主要農作物等種子生産状況に関するアンケート調査の結果がまとまりましたので報告いたします。
2022年度主要農作物等の種子生産に関する都道府県アンケート結果-報告書
2022年度都道府県調査条例制定自治体 2022.7.12現在
今年度も5月に全都道府県の担当者にメールで依頼し、6月中に全自治体から回答を得ることができました。
調査項目は次の12項目です。気候変動に関する対応策・奨励品種の内、登録品種の許諾に関すること・種子法廃止5年後の課題・種子生産継続の理由は今年、新設した設問です。
①2022年度の予算額及び予算を構成する主な費目
②実施部署または機関の名称について
③奨励品種名
④奨励品種決定のための原々種・原種の生産、種子の審査等について
⑤ゲノム編集品種の種子生産の可能性について
⑥種子生産に関する条例について
⑦国又は民間企業との共同開発について
⑧気候変動に関する農業への対応策について
⑨奨励品種の内、品種登録されている品種について
⑩奨励品種の内、登録品種について。許諾内容
⑪種子法が廃止されて、5年目を迎え見えてきた課題
⑫種子法廃止後も主要農作物等の種子生産を継続される理由、今後の方向性
1.2022年度予算について
2021年と比べて1000万円以上の差があったのは、茨城県の約3231万円増額、秋田県の約2699万円増額でしたが、いずれも理由は「機械整備」です。大きく減額した自治体はありませんでした。
2.奨励品種決定のための原々種・原種の生産、種子の審査等について
2021年度と比べ、大きな変化は見られませんでした。「種子生産ほ場の指定」を「実施しない」は1自治体、「種子の審査」を「実施しない」は1自治体増えました。
ほ場の指定を「実施しない」:栃木県・東京都・愛知県・奈良県・佐賀県
種子の審査を「実施しない」:栃木県・東京都・奈良県
3.ゲノム編集品種の種子生産の可能性について
2021年度と同じく、「可能性がある」と回答した自治体はありませんでした。ただし、「その他」と回答した岩手県と「無回答」の宮城県は、いずれも「不明」とコメントがあり、県として把握していない状況です。また、岐阜県は「国等の社会情勢を見て判断」とコメントしています。
4.種子生産に関する条例について
2022年5月の時点で条例未制定は15都府県で、昨年度より3県減少しました。福島県・山梨県・沖縄県で新たに制定されました。未制定は青森県・東京都・神奈川・静岡県・京都府・大阪府・奈良県・和歌山県・岡山県・山口県・香川県・高知県・佐賀県・長崎県・大分県です。
5.国又は民間企業との共同開発について
「国の研究機関との共同開発」を行っているのは13県、「民間企業との共同開発」を行っているのは5県でした。
6.奨励品種の許諾について
登録品種の許諾申請が「必要」「一部必要」としているのは合計で26道府県で55%となっています。許諾料を設定しているのは21府県です。申請は必要だが許諾料は無料、県内生産者は無料など各自治体により設定が異なります。
7.自由記述より
①気候変動に関する農業への対応策について
39道府県が具体的に回答し、そのうち27府県が「高温耐性」など高温対策に取り組んでいます。
②種子法が廃止されて、5年目を迎え見えてきた課題
25府県(53%)が「特に問題はない」と回答しています。特徴的な回答の要約を紹介します。
埼玉県:都道府県間連携が重要である。
鳥取県:他県との種子生産受委託推進は、県内種子価格との差や品質で問題が生じた場合、事故が起きた場合の対応など課題が山積している。
広島県:本県における取組は国の地方交付税を財源としているため、これが無くなると継続が困難。今後も国の財政措置は必須。
③主要農作物等の種子生産を継続される理由
44道府県の回答は、いずれも「安定供給」「品質確保」「農業振興」「県の責務」に関する記述でした。
以上
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