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2018年7月24日、消費者問題担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、消費者委員会食品表示部会部会長、食品表示部会委員宛てに、全ての遺伝子組み換え食品を対象とした義務表示を求めるとともに、「遺伝子組み換えでない」表示の厳格化により懸念されることを指摘する意見書を提出しました。

遺伝子組換え制度改正への意見書

2018年7月24日

遺伝子組換え表示制度改正に向けた意見

2017年4月から2018年3月末に開催された「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」報告書の内容について、遺伝子組換え表示制度改正に向けた意見及び懸念事項を下記に述べます。

2001年に導入された現行の遺伝子組換え食品表示制度では、義務表示の対象はわずか8農産物33加工食品群に限られています。遺伝子組換え農作物及びそれに由来する原料から製造されていても、最終製品に加工される過程でタンパク質やDNAの成分が除かれてしまう多くの加工食品(食用油・醤油など)や、畜産における飼料は、義務表示の対象外で、生産者の任意に委ねられています。
このような場合、消費者が「遺伝子組換え食品は食べたくない」と考えても、「遺伝子組換え」という表示がないため判断できません。また、加工食品業界や畜産業界においては、消費者に明らかにされないまま、コストのかかる分別生産流通管理(以下、分別)された非遺伝子組換え原料から遺伝子組換え不分別のものに切り替える動きが加速しています。いずれも表示制度の欠陥によって生じている問題です。
遺伝子組み換え表示に関する検討会でまとめられた報告書では、義務表示の拡大はなく基本的に現行通りとし、任意表示である「遺伝子組換えでない」表示についてのみ厳格化するという方向性が打ち出されました。混入率が0%ではなく、実際には5%以下の意図せざる混入の可能性があるのに、「遺伝子組換えでない」という表示をするのは消費者の誤認を招くという消費者委員の意見を反映させたものです。

遺伝子組換え表示制度改正への意見
1.全ての遺伝子組換え食品を対象とした義務表示を求めます
遺伝子組換え原料を使った食品については全てに表示を義務づけるよう求めます。また、加工後に組換えDNA、由来タンパク質が検出されるかどうかという、いわゆる「科学的検証」のみを根拠とするのではなく、流通過程の各段階で「科学的検証」も織り込んだうえで分別生産流通管理証明書や規格契約書等を用いた、いわゆる「社会的検証」を根拠とすることを求めます。
2.混入率α%~5%以下で新設される表示は、消費者が遺伝子組換えでない食品を選べるような、プロセスを重視した表示制度となることを求めます。
3.見直された制度が施行される前に生産・流通・消費動向のシミュレーションを実施する等、慎重な検討がなされることを求めます。

「遺伝子組換えでない」表示の厳格化により懸念されること
① 「遺伝子組換えでない」と表示される食品は激減する
現行制度では、義務表示の範囲が限定されているため、店頭で「遺伝子組換え」や「遺伝子組換え不分別」という表示をほとんど見かけません。このように義務表示の範囲を狭めたまま、任意の「遺伝子組換えでない」表示を混入率0%(不検出)と厳格化した場合、「遺伝子組換えでない」と表示される食品は激減する恐れがあると予想されます。
たとえば表示義務のある豆腐では、混入率5%以下まで分別された原材料から製造されている場合には、これまでなら「原材料:大豆(遺伝子組換えでない)」と表示できていました。ところが報告書に沿った新制度ができた場合には、「原材料:大豆」としか書けなくなります。これでは、原材料の大豆に95%以上の遺伝子組換えでないものを使っていても、そのことが消費者には伝わりません。
他方で、表示義務のない食用油、醤油、糖類などの場合は現行制度と変わりません。つまり遺伝子組換えの原材料を使用していても、「遺伝子組換え」や「遺伝子組換え不分別」と表示する必要はありません。遺伝子組換えでない原材料を分別して使っていても表示に反映できない一方で、表示義務のない食品では、ほとんどの原材料が遺伝子組換えであっても表示する必要がないわけです。このように、同じように表示が無い場合でも、意味が違ってきてしまいます。
② 分別生産流通のシステムが無くなる可能性
そうなれば、遺伝子組換えでない原材料の分別を適切に実施してきた事業者にとって、その努力を消費者に伝える機会が失われることになります。それはまた消費行動にも影響を及ぼします。その結果、遺伝子組換えでない原料を調達するためのシステム自体が無くなくなる可能性も出てきます。
③ 消費者は遺伝子組換え食品を避けられなくなるばかりか、遺伝子組換えでないものを選ぶ機会をも失うことにもなります。
④ 国産農産物であっても「遺伝子組換えでない」表示はできない
国産農産物については、いまのところ遺伝子組換えの栽培は行われていないため、遺伝子組換えでないと考えられますが、分析技術が進歩している現在、遺伝子組換えと非遺伝子組換え原料を使用している工場では、何らかの原因で微量でも混入した場合、組換えDNAが検出される可能性はあり、「遺伝子組換えでない」表示はできません。
⑤ プレミアム価格がついた高価な「遺伝子組換えでない」表示の食品と遺伝子組換え不分別の原料を使った食品の二極化も懸念されます。
以上

 

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