12月10日、当会が提出した「有機農産物の日本農林規格等の一部改正案」への意見・質問に対して、農林水産省食料産業局食品製造課基準認証室より、回答が届きましたので報告します。
「ゲノム編集技術を用いて生産されたものについても、原材料等において使用できないことを明確にする」という改正案について、以下の点について明確にすることが前提になると思われます。下記質問にご回答ください。
【質問】
1.ゲノム編集種子及び資材等の開発者、企業に対して、情報の届け出を義務化し正確な情報を管理する必要があると思われますが、義務化を考えていますか。義務化を考えていない場合、正確な情報を担保する方策を具体的にお示しください。
2.ゲノム編集作物・食品のトレーサビリティを保障する制度の確立について、具体的な方向性をお示しください。
3.飼料安全法におけるゲノム編集飼料は安全性審査の対象外となりましたが、どのように整合性をつけるのか具体的にお示しください。
4.飼料安全法におけるゲノム編集飼料は義務表示の対象外となりましたが、どのように整合性をつけるのか具体的にお示しください。
5.カルタヘナ法、食品衛生法、食品表示法におけるゲノム編集作物・食品は規制の対象がとなりましたが、環境影響評価、食品安全性審査、食品表示について、関連する省庁との連携、法制度的な整合性をどのようにつけるのか具体的にお示しください。
6.ゲノム編集か否かを判別するには分析する必要がありますが、国による分析方法についてどのような準備をされるのか具体的にお示しください。
回答(質問1から6に対して)
有機JASでは、認証事業者が生産行程において、第三者の確認に必要となる事項について記録に残すこととなっており、それを第三者が年1回以上の検査により確認することで、有機JASの規定を満たしていることを担保することとしています。
ゲノム編集技術の使用についても同様に、一般食品における表示義務などの有無と関係なく、有機JASの認証事業者は当該規定を満たしていることを証明し、第3者の確認を受けることとなります。
7.改正時に、ゲノム編集種子、資材の混入から有機農産物生産者を救済するための制度を作る必要がありますが、どのような準備をされるのか具体的な方向性をお示しください。
回答
有機JASでは、認証事業者は、ゲノム編集された農産物に限らず、有機農産物に、有機農産物以外のものや使用禁止資材が混入しないよう手順を定め、遵守することになります。
当該手順が妥当であるかどうかは登録認証機関が確認し判断します。
8.改正時に、有機JASにおける除外項目・使用禁止項目のひとつ「組換えDNA技術」を「遺伝子操作技術」に変更し、国際ルールとの整合性をつける必要があると思われますが改定の有無とその理由をお示しください。
国際的な取り決めであるコーデックスのガイドラインでは、「遺伝子操作/遺伝子組換え生物」を、「遺伝子操作/遺伝子組換え生物、また、それらに由来する製品は、交配又は自然な組換えによって自然に生じることのない方法で遺伝物質を変化させる技術を用いて生産される」、「遺伝子操作技術/遺伝子組換え技術(技法)」を「組換えDNA、細胞融合、ミクロインジェクション、マクロインジェクション、被包化、遺伝子欠失、遺伝子の倍加等が含まれる。遺伝子組換え生物には、接合、形質導入及び交雑等の技術に由来する生物は含まれない」と暫定的に規定しており、「組換えDNA技術」応用作物・食品と同様にゲノム編集技術応用作物・食品の使用も認められないことになっています。有機認証については、他国の制度を自国の制度と同等と認め、相手国の有機認証品を自国の有機認証品として取り扱う有機認証制度の相互承認が国家間で取決められていることにも、十分な配慮が必要です。
回答
国際ガイドラインである「有機的に生産される食品の生産、加工、表示及び販売に関するガイドライン」との整合性をとる必要性から、今般の有機JASの改正については、組換えDNA技術以外の遺伝子操作技術の取り扱いを明確にするものです。
以上