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 4月12日付で農林水産大臣宛てに種苗法改正について意見書を提出しました。この「種苗法の一部を改正する法律」案は、現在会期中の国会(第201回通常国会)で審議される予定です。


種苗法改正案についての意見書

種苗法改正案についての意見

 2020年3月3日に閣議決定された種苗法の改正案をめぐり、情報が錯綜しています。当会では、農林水産省が2019年4月〜11月に開催した「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」(全6回)を傍聴し、内部学習会を重ね、情報収集を進めてきました。

 種苗法は、登録新品種の権利を一定期間に限って保護し、新品種の開発を社会的に評価するとともに優良な新品種の開発意欲と利用普及を促し、持続可能な農業を支えるものです。通常、膨大な時間と労力、それに見合う対価がかかる新品種の開発現場を支えるしくみですが、誰にもわかりやすく利用しやすい制度設計と運用が重要です。

 種苗法改正にあたり、以下の通り意見を述べます。

【意見】

1.許諾条件、許諾料の有無、金額の設定、期間等は、個別の許諾契約によるようですが、適切な運用が為されているかどうか、継続的に監視できるしくみを導入してください。

2.登録品種の利用者にとって、手続きのコストや手間を利用しやすく簡便なものとし、利用者の負担軽減を図ってください。

3.国内開発された優良品種を海外でも積極的に登録できるように、品種登録制度がない国にも日本の制度と調和を図りながら整備を働きかけてください。

4.付帯決議に、伝統野菜など重要な遺伝資源の維持支援に向けた新たな法整備、種苗の研究開発環境の改善に向けた具体策などを盛り込んでください。

5.ゲノム編集を利用した登録品種については、情報開示と表示の義務化を強く求めます。

【理由】

 今国会で種苗法の改定について審議されていくことになりますが、この機会に、多様な種子や種苗の持つ価値や豊かさ、可能性などについて当事者を交えた論議をさらに深め、地域に根ざした農業やローカルから始まる地産地消の推進を支援していくための施策を検討していくべきです。

 現状でも伝統野菜の採種にはわずかながら助成金が出る制度がありますが、認知度も低く不十分です。今回の検討にあたっては、「遺伝資源は人類の共有財産」という考え方を軽視するべきではなく、登録品種の権利保護と一般品種の自由利用とのバランスが重要とされました。

 この点からも今後、伝統野菜など重要資源の維持支援策、在来品種の調査をはじめ、地域ごとにきめ細かくシードバンクを設置できるような法整備や支援、農業現場の主体的な担い手目線を重視し、「農民の権利」を含めた農業政策及び地域政策を重要課題として推進していく必要があります。

 また、昨今の登録品種の開発低迷の原因には、関連予算の削減など種苗の研究開発環境が悪化してきたことも一因として考えられるため、この点でも改善が必要です。

 少なくとも付帯決議には、伝統野菜など重要な遺伝資源の維持支援策、種苗の研究開発環境の改善策などが盛り込まれるべきです。

 ゲノム編集技術を利用した品種開発は今後国内外で加速することが予測されます。食味向上や収量増、栄養成分量増など、さまざまな付加価値のある品種が、すでに実験段階を迎えています。

 しかし、現状では国内でゲノム編集作物の作付を管理するしくみは未整備です。一部のゲノム編集作物については、2019年10月より国による審査を経ずに自主的な情報提供だけで栽培及び流通が可能となりました。そのため、ゲノム編集作物については「いつ、誰が、どこで、何を、どれだけ、どのように作付しているか」を確実に把握するのは不可能です。

 そのような中においても、改正案にある許諾制が導入された場合、ゲノム編集を利用した登録品種のトレーサビリティはほぼ確保できるはずです。

 しかし、登録時にゲノム編集に関する情報開示と表示を義務付けない限り、利用者にはその登録品種がゲノム編集を利用したものかどうか確実に把握することができません。許諾契約の上であったとしても、ゲノム編集作物が認知されないままに自家増殖や譲渡によって環境中に拡散していく事態は、阻止する必要があります。

 つくる人にとっても食べる人にとっても不安が大きいゲノム編集作物については、登録時の審査項目に「ゲノム編集技術の利用の有無」を追加のうえ、「特性表」にも記載し、情報開示(公表)と表示を義務付けてください。

以上

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