「種苗法の一部を改正する法律」案が、2020年3月3日に閣議決定されました。この法案は、現在会期中の国会(第201回通常国会)で審議される予定です。この種苗法改正案をめぐり、情報が錯綜しています。たねと食とひと@フォーラムでは、農林水産省が2019年4〜11月に開催した「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」全6回を傍聴し、2回の内部学習会を重ね、情報収集を進めてきました。
この度、その報告「種苗法改正について考える」(概要、内部学習会報告、不安・疑問)を以下の通りまとめました。ぜひ、お読みください。
◆種苗法について考える 概要
◆種苗法改正についての内部学習会報告
◆種苗法改正案をめぐる不安・疑問について考える
【種苗法の目的】
新品種の開発には、通常、膨大な時間と労力、それに見合う対価もかかります。種苗法は、登録新品種の権利を一定期間に限って保護し、新品種の開発を社会的に評価するとともに優良な新品種の開発意欲と利用普及を促し、持続可能な農業を支えるものです。
【種苗法に基づく登録品種とは何か】
種苗法に基づいて開発者が登録した新品種が「登録品種」となります。開発者が一定の手数料を納付して種苗登録した場合、国から「育成者権」が与えられ、その登録品種の種苗の生産、増殖、販売などを、一定の期間、占有する権利を持つことができます。
【登録品種の扱いを厳格化】
今回の改正案では、グローバル化が進む中で種苗法が本来の役割を果たせるように、登録品種の扱いが厳格化される見込みです。育成者に義務付けられるのは、国内利用や地域内(都道府県)での利用に限定するなどの条件があれば、登録時に明確にすること及びその表示です。一方、登録品種を生産、増殖、販売などの目的で自家採種・自家増殖したい団体や農業者は、許諾契約(必要な場合は育成者に許諾料を支払う)によって「利用者権」が得られ、自家採種や自家増殖も可能となります。その場合、利用者には育成者の示した利用条件を守ることが義務付けられます。なお、登録品種の利用であっても、自家消費を目的とする家庭菜園や研究用での自家採種・自家増殖の場合、許諾は必要ありません。
もちろん「遺伝資源は人類の共有財産」という考え方も軽視するべきではなく、検討にあたっては登録品種の権利保護と一般品種の自由利用とのバランスが重要とされました。
農林水産省のホームページ
「第201回国会(令和2年常会)提出法律案」で公表 https://www.maff.go.jp/j/law/bill/201/index.html
「種苗法の一部を改正する法律案」もご覧ください https://www.maff.go.jp/j/shokusan/shubyoho.html
以上