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 7月24日、厚労省「ゲノム編集技術応用食品等の食品衛生上の取扱要領(案)」及び「届出に係る留意事項(案)」への意見を提出しました。

厚労省ゲノム編集意見募集へのたねと食とひと@フォーラム意見

厚労省パブリックコメント募集ページ


1.定義について

【意見】ゲノム編集技術が組換えDNA技術と違うことを明確に定義するためには、食品衛生法の改正または規格基準の改定をすべきです。

【理由】ゲノム編集技術の定義検討は、報告書の「検討に至るまでの経緯」にあるように、「導入遺伝子が存残しない等の理由により、食品衛生法上の組換えDNA技術に該当しない可能性がある」ことから議論が始まりました。報告書の「その他必要な取組」にあるように、「従来からの組換えDNA技術応用食品との関係について混乱を生じさせないようにすることが重要」です。ゲノム編集技術の定義について、「最終的に、外来の遺伝子及びその一部を含む場合は組換えDNA技術に相当するもの」とする今回の定義とは明らかに矛盾します。規制を検討する前提として求められる作業は、新しい技術が古い定義にあてはまるかどうかを文言上で判定することではなく、法律または法律上の定義を見直すことです。

 流通が目前に迫っていることを理由に、食経験の歴史が浅く安全性が確立されていないゲノム編集作物動物応用食品を安全性審査の対象外とすることは本末転倒です。遺伝子組換え食品に安全性審査を義務付けた平成12年の経験に学び、食品衛生法の趣旨や目的を鑑みて、法律の見直しまたは規格基準の改定を進めてください。関連して内閣府食品安全委員会安全性評価基準(遺伝子組換え食品)には、種子植物、微生物に加えて魚類等を含む動物についても整備が必要です。

2.届出の対象となるゲノム編集技術応用食品について

【意見】予防原則に基づき、全てのゲノム編集技術応用食品に届け出と安全性審査手続を義務付けてください。届出されたゲノム編集技術応用食品を利用して製造加工された食品についても、届出を義務付けてください。

【理由】ゲノム編集技術の結果は完全に予測できるわけではなく、想定外のアレルゲンや有害物質が産生される恐れがあります。個々の応用分野においてもオフターゲット変異の評価体系は、国内外で未確立です。オンターゲットの変異で意図されない効果が生じる可能性も否定できません。

 十分な検証やリスク評価なしに食品として市場に出回ってしまえば、異常タンパク質によってアレルギー等の問題を引き起こすことも考えられます。食品安全性に重大な影響を及ぼしかねません。食経験の歴史が浅く長期にわたりゲノム編集作物動物応用食品を摂取した場合、体にどのような影響を及ぼすのか、また及ぼさないのかデータがありません。悪影響が生じる可能性が排除できない以上、予防原則に基づいた規制を整備する必要があります。

 国ごとに対応が違うことも不安を招いています。日本で一部を規制しないという事は、国が食の安全ひいては国民のいのちと健康を守る義務を放棄することになりかねません。予防原則に則った厳しい基準づくりは、国民から信任されて政策や方針を決定する立場にある人々の社会的責任です。

3.届出の対象となるゲノム編集技術応用添加物について

【意見】予防原則に基づき、全てのゲノム編集技術応用添加物に届け出と安全性審査手続を義務付けてください。届出されたゲノム編集技術応用添加物を利用して製造加工された食品についても、届出を義務付けてください。

【理由】ゲノム編集技術の結果は完全に予測できるわけではなく、想定外のアレルゲンや有害物質が産生される恐れがあります。個々の応用分野においてもオフターゲット変異の評価体系は、国内外で未確立です。オンターゲットの変異で意図されない効果が生じる可能性も否定できません。

 十分な検証やリスク評価なしに食品として市場に出回ってしまえば、異常タンパク質によってアレルギー等の問題を引き起こすことも考えられます。食品安全性に重大な影響を及ぼしかねません。食経験の歴史が浅く長期にわたりゲノム編集作物動物応用食品を摂取した場合、体にどのような影響を及ぼすのか、また及ぼさないのかデータがありません。悪影響が生じる可能性が排除できない以上、予防原則に基づいた規制を整備する必要があります。

 国ごとに対応が違うことも不安を招いています。日本で一部を規制しないという事は、国が食の安全ひいては国民のいのちと健康を守る義務を放棄することになりかねません。予防原則に則った厳しい基準づくりは、国民から信任されて政策や方針を決定する立場にある人々の社会的責任です。

4.届出等の方法について

【意見】すべてのゲノム編集技術応用食品及び添加物について、開発者等には、事前相談の段階から詳細な情報提供を義務付けてください。(7)で示された添加物についても、届出や公表を行うものとしてください。また、開発者、その代理人その他には、原則としてではなく必ず上市前に一定の情報を届け出るものとしてください。届出を受けた厚生労働省は、遅滞なく必要な情報を公表してください。厚生労働省では、消費者庁が消費者の知る権利や選ぶ権利を確保する使命を果たせるように、実効性のある表示が可能な体制を早急に整えてください。

【理由】遺伝子を改変した作物によって問題が生じた場合、追跡や回収が困難です。被害拡大を防ぐためにも、遡って原因を究明し、責任を明らかにすることができるトレーサビリティの確立が必要です。上市されれば、当然、学校給食等にも使われることとなり、消費者の間では不安が高まっています。

 科学的検証に加えて、届出情報、事前相談の内容、特許となっているゲノム編集ツールの購入履歴等を活用するなどの社会的検証を併用することで、実行可能性の幅は広がります。事業者の願いも、開発者の願いも、安全・安心な商品及びサービスが市場に供給され、人々の生命や健康が守られ、仮に被害に遭っても円滑に救済されることにあるはずです。EUなどの今後の対応を参考にすれば、対策は必ず見つかります。2017年9月1日に公布と同時に施行された改正食品表示基準で消費者庁は、加工食品に原料原産地表示を義務付けました。その裏付けは社会的検証(原料トレーサビリティ)です。

5.届出及び公表する情報について

特にありません。

6.後代交配種の取扱いについて

【意見】後代交配種についても、事前相談及び届出を義務付けてください。

【理由】ゲノム編集技術は遺伝子組み換え技術の次世代版として登場してきた新しいバイオテクノロジーです。人類史上これまで経験のないものに対して、多くの市民が慎重になるのは当然です。それが人や地球の未来につながる食や環境に関わることであれば、なおさらです。遺伝子改変を施された食品は避けたいという消費者が多いのも実状です。すべてのゲノム編集技術応用食品及び添加物に対して、厳格な取扱いが必要です。

7.その他について

【意見】ゲノム編集技術応用食品等に関する利用の実績又は今後の科学的知見の充実、国際的動向を踏まえ必要に応じて見直しを行うことはもちろんですが、見直し以前の状況についても、広く情報開示が必要です。厚生労働省のHPに、消費者や事業者、また海外からもアクセスしやすいゲノム編集技術応用食品等に関する情報を一元管理した専用ページを設けてください。通知に従わない事実については、当該開発者等の情報を、このページでも速やかに公表してください。

【理由】ゲノム編集技術については、検知法を含め世界レベルで更なる技術開発の進展が見込まれています。それに合わせてたえず情報が更新されて速やかに公開されることが重要です。食品衛生法上の組換えDNA技術とは違うことから、「従来からの組換えDNA技術応用食品との関係について混乱を生じさせない」ためにも、組換えDNA技術とは別の専用ページが必要です。海外からの輸入も見込まれているので、その対応も国際的調和のためには必要です。

以上

 

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