たねと食とひと@フォーラムは、たねといのちの多様性と持続性のために活動しています。

たねと食とひと@フォーラムは多くの団体、個人のみなさまと共に、国際シンポジウム2015「消費者が選べる遺伝子組み換え食品表示をめざして」を、開催することができました。開催にあたりご協力くださった団体、個人および当日ご参加くださったみなさまに、感謝いたします。生活クラブ連合会ホームページの記事を引用し、報告とさせていただきます。http://seikatsuclub.coop/activity/20151216.html

なお、この企画は、独立行政法人環境再生保全機構「地球環境基金」の助成をいただいて、実施いたしました。

■共催 食品表示を考える市民ネットワーク/たねと食とひと@フォーラム/生活クラブ事業連合生活協同組合連合会/グリーンコープ共同体/パルシステム生活協同組合連合会/市民セクター政策機構/生活クラブ親生会/戸川雅子 
■協賛 米香房Gratias/生活協同組合パルシステム東京/ルナ・オーガニック・インスティテュート/オルター・トレード・ジャパン/主婦連合会/家庭栄養研究会/APLA/ふろむあーすカフェ・オハナ/カフェスロー/矢ノ目糀屋/松本清/食の安全・監視市民委員会/東京都地域消費者団体連絡会/ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン/大地を守る会/福井鉄/一般社団法人ワーカーズ・コレクティブぷろぼの工房/ワーカーズ・コレクティブ及び非営利・協同支援センター/大塚恵美子/広報貴族・木下拓己/大河原まさ子/農民運動全国連合会/一般社団法人農民連食品分析センター/東京ワーカーズ・コレクティブ協同組合 

遺伝子組み換え食品表示の充実をめざして
米国・韓国の市民団体を招いて国際シンポジウムを開催

 

11月21日、生活クラブ生協連合会は「食品表示を考える市民ネットワーク」「たねと食とひと@フォーラム」「グリーンコープ共同体」「パルシステム生協連合会」など多くの市民グループ・生協とともに、米国・韓国の遺伝子組み換え食品表示を求める市民団体と連携した国際シンポジウムを東京で開催しました。各地の生協や市民団体などから168人が集まり、米・韓での遺伝子組み換え食品表示の現状を知るとともに、消費者が自ら選ぶ権利が世界的に阻まれている現状を共有しました。遺伝子組み換え食品の世界的な広がりにストップをかけ、消費者の知る権利を確立するために、国境を越えた市民の取り組みの意義をあらためて確認することができました。

(2015年12月16日掲載)

遺伝子組み換え表示を任意にする法案がアメリカ議会で審議中

神山美智子さん神山美智子さんシンポジウムでは初めに「食品表示を考える市民ネットワーク」代表で弁護士の神山美智子さんが、日本の食品表示法の問題点を指摘しました。「2015年4月に施行されたばかりですが、これまで58本の法律に分かれていた表示制度をひとつの法律にまとめただけで、外食産業への表示基準など抜け穴だらけのままです」

ジョージ・キンブレルさんジョージ・キンブレルさん続いて米国の遺伝子組み換え表示をめぐって、全米約70万人の会員が参加する市民団体「食品安全センター」の上級弁護士であるジョージ・キンブレルさんが次のように話しました。
「遺伝子組み換え食品の表示は世界64カ国で何らかの制度がありますが、アメリカでは国としての表示制度がありません。私たちは遺伝子組み換え食品について知る権利を求める請願活動を2011年に実施し、150万人以上の署名を集めました。さらに33の州で表示の義務化を求める州法の制定活動を行ない、これまでにバーモント州など3州で可決しました」

このようにアメリカでは遺伝子組み換え食品の表示制度に進展がみられましたが、遺伝子組み換え作物を開発するモンサント社などは、多額の資金を使って表示反対のキャンペーンを展開しています。また、州ごとに独自の法律が制定されると食品業者の混乱を招くなどとして、全米共通の遺伝子組み換え表示を義務ではなく任意にする法案が連邦議会に提案されています。

「この法案はすでに下院を通過しており、上院でも近々審議される見込みです。遺伝子組み換え表示を任意にすることは消費者の知る権利を奪うことになるので、市民は強く反対しています」

アメリカではこのシンポジウム前日の11月19日、遺伝子組み換えによって成長を早めたサーモンがFDAにより食品として承認されたこともあり、同国での表示制度の動向が注目されます。

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2016年の参議院選挙を食品表示制度の改定の契機に

イ・ジェウクさんイ・ジェウクさん韓国の「遺伝子組み換え食品反対生命運動連帯」執行委員長と「農漁村社会研究所」の所長を務めるイ・ジェウクさんは、次のように話しました。「韓国では2001年に遺伝子組み換え食品の表示制度が制定されました。しかし、組み込まれた遺伝子やその遺伝子がつくるタンパク質が食品製造後に残らない食品には表示をしなくてよい制度になっています」

韓国では、製造された食品への組み換え遺伝子の残留の有無に関係なく、遺伝子組み換え作物を原料とした場合は表示する改定案が2008年に公示されましたが、7年経っても改定の動きはまったく始まっていません。

日本の遺伝子組み換え食品の表示制度も韓国とほぼ同様で、2001年に制度化されました。2カ国の制度は、次のようなものです。

西分千秋さん西分千秋さん日本も遺伝子組み換え食品の表示制度がありながら対象外の食品が多いのが実情で、市民団体「たねと食とひと@フォーラム」共同代表の西分千秋さんは、次のように述べました。
「消費者は『遺伝子組み換え食品を食べたくない』と考えても、表示されている食品が少ないために選択することができません。また、これまで非遺伝子組み換え原料を使っていた加工食品業界や畜産業界も、コストが高いために遺伝子組み換え不分別の原料に変更する動きが消費者の知らないところで進んでいます。表示制度の欠陥から生じている問題です」

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アメリカと韓国から招いた講師とともに、日本の消費者団体の立場からパネルディスカッションに加わった生活クラブ山梨の上野しのぶさん上野しのぶさん上野しのぶ理事長は「遺伝子組み換え食品について消費者が選べる表示を引き続き求めていくとともに、遺伝子組み換え作物を栽培しないと宣言するフリーゾーンを広める活動を生産者とともに進めていきたい」と述べました。

またイ・ジェウクさんは「遺伝子組み換え作物を世界でもっとも食べているのが日本で、2位が韓国です。不名誉な順位を争うのではなく、隣国どうし連帯して表示制度を充実させていきましょう」と呼びかけました。

日本では2016年に参議院議員選挙が予定されており、遺伝子組み換え食品をふくめた食品表示法の問題を争点とする機会といえます。今回のシンポジウムの行動提案として、政府や与野党、国会議員などに消費者が選べる食品表示を働きかけていこうとの呼びかけがあり、参加者は拍手で承認して閉会しました。

 

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