日本における非遺伝子組み換え(NON-GM)とうもろこしの需要について
1.日本の状況
2007年以降、とうもろこしは価格高騰を受けて、食品業界は遺伝子組み換え(GM)表示義務のない糖類を中心に、大きくGM化(不分別化)が進み、その後、食品用および飼料用共にNON-GMとうもろこしの需要は漸減傾向をたどっています。その中で、ビール業界は原料をNON-GMとする方針を維持してきました。
日本のNON-GMとうもろこし輸入量(推定)4-3月 | |||||||
2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | |
飼料用(千トン) | 700 | 500 | 400 | 300 | 280 | 280 | 260 |
食品用(千トン) | 3,000 | 1,850 | 1,650 | 1,450 | 1,250 | 1,150 | 1,100 |
食品用シェア | 83% | 50% | 45% | 41% | 38% | 34% | 33% |
飼料用シェア | 6% | 4% | 4% | 3% | 3% | 3% | 3% |
2.ビールメーカーの利用状況
しかし、残念ながらGM表示義務のない糖類について、NON-GMを止める(GMO化)動きとなり、すべての大手ビールメーカーが2015年早々の製造から、GM不分別とうもろこしから作られる糖類へ切り替えを行ったことが、たねと食とひと@フォーラムの公開質問によって明らかになりました。
3.全体への影響年間使用料(推定)
2013年現在、NON-GMとうもろこし需要は約110万トンとみられており、うちビール、発泡酒、第3のビールの原材料ベースとなるとうもろこしは、ビール向け(コーン・スターチ)が約15万トン、糖類が約30万トンです。
このビール業界の動きによって、今後、年間で約30万トン(3割弱)のNON-GMとうもろこし需要が減少すると予想されます。
ビールメーカー向け糖化製品がGM化することで、NON-GMとうもろこしの取り扱いコストが増大することが予想され、輸入業界、製造業界においてNON-GM方針の「維持か撤退」の二極化(=淘汰)が進むものと思われます。
飼料用NON-GMとうもろこしは、スターチ向け需要との積み合わせで輸入されていることから、コスト増大に対処できないところは、同様に淘汰が進むものと思われます。
以上
(2016年3月9日修正)