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12814273_1353949934630922_953414487915139307_n3月1日(火)、表参道の地球環境プラザセミナースペースで、映画上映会『自由貿易に抗う人々 NAFTAから20年』が開催されました。上映後の監督トークでは、当団体の事務局長でもある上垣喜寛監督から、メキシコでの取材で感じたことなどが語られました。参加者との質疑応答では、ますます熱が入り、予定時間を超えての意見交換となりました。共同制作者の平井明日菜さんからは、2月に発売が開始されたDVDが紹介されました。

昨年12月に完成したこの映画のラストシーンは、2015年10月5日米国アトランタでのTPP大筋合意を報じるラジオの音声となっています。これからの日本のことを考えて行動していくためのヒントとして受け止めてくださった方が多かったようです。以下、アンケートでの感想などを紹介します。

★感想より

・NAFTAでメキシコがどう変わったか、以前から興味があった。現地の労働者や農民の生の声を聞くことができて、大変勉強になった。貴重な映像だと思う。そのような中で、メキシコ州トウモロコシ生産組合では、自立のために在来種の種子を次世代に伝えていく試みが地域ぐるみで行なわれていることを知り、感動した。(40代、男性)

・TPPの行く末を暗示するかのような内容が、時期に合っていた。メキシコだけの話ではなくて、日本でも同じだと思った。(50代、女性)

・メキシコの現状がよくわかりました。NAFTAについては、サラリーマンの現役時代から聞いていましたが、工業の方が中心でした。農業への影響も、知ることができてよかったです。TPPもNAFTAも同じようなものです。一次産業だけでなく、あらゆる業種に関わってきます。この先、日本がどうなるのか本当に心配です。(60代、男性)

・日本の農民のこと、農業のこと、地域のことなど、いろいろと思い浮かべながら見せてもらいました。日本でも、「農家が誇りを持てるような社会」や「ここで住み続けたい、ここで働きたい」と思える地域づくりをもっと大切にしていかなくてはと、この映画を見て改めて考えさせられました。(60代、男性)

・よくわからなかったが、とても考えることはできました。(20代、男性)

・ケンタロ州の大学で、無償で農民に知識を伝授しているのは素晴らしいと思いました。また、意識の高い農家の方々が生産組合を作って、在来種のトウモロコシを大切に栽培し、seed bankに保存し、農家に無償で貸付け、種を返してもらうことで更新していくという営みを続けておられる姿を見て、本当に感激しました。多様性のある在来種は、長い年月をかけて生き残ってきた遺伝的に大変安定した品種です。病気になると全滅してしまう単一種のGMは、そうした貴重な形質をいとも簡単に破壊していくと危惧しています。粉での輸入だと交配は起きませんが、食料を他国に依存することになります。(60代、男性)

・国の立ち位置、状況、国民性は違うと思いますが、興味深く見せていただきました。これは、「食料主権」の問題ですね。「トウモロコシを守ることはアイデンティティーを守ることだ」という言葉がすごく印象的でした。日本で、主食のコメのことをそう言える人々がどれほどいるだろうかと心配になりました。メキシコでは、先住民だけでなく、普通の人々も意識が高そうです。それでも、これほどまでに打撃を受けてしまう。実際にダメージを受けてしまうまでは想像できないのが、普通の感覚です。日本にも警鐘を鳴らす映画だと思うので、多くの人に見てもらいたいと思います。(30代、女性)

・日本語吹き替え版だと、よりわかりやすいのではないか。司会から紹介されたチャプターごとの4つの漢字(被る、壊れる、抗う、育む)が、画面に映し出されるとよい。また、映画の最後にラジオから聞こえてきたTPP大筋合意を語る総理大臣の声に、複雑な気持ちになった。TPPでバラ色の未来など、決して想定できないだけに。(60代、男性)

・音楽や映像も素敵でした。(30代、男性)

自由貿易に抗う人々

★終了後に監督が大事なことを言い忘れていました。

映画のテーマになっている北米自由貿易協定(NAFTA)がメキシコの農業や食を崩壊させたのか、という点です。そう単純な話ではなさそうです。

解説パンフレットでラウル教授(ケレタロ大学教授)は、いまのメキシコの置かれた悲惨な状況の始まりを第二次世界大戦後の米国からの農業技術導入(緑の革命)にさかのぼって解説しています。80年代に財政破綻したメキシコに対する米国主導の「改革」(ワシントンコンセンサス)に照らす学者もいます。

そして、取材を通して共通していたのは、「NAFTAがとどめを刺した」という意見が大半です。すでにその下地はNAFTA以前にあったということです。

「TPPで日本が潰れる」という見方もあるようですが、2000年代から急速に日本に広まった新自由主義によって、すでに地ならしはできているという俯瞰した目も必要かもしれません。

さらに遡ると、パンと牛乳の給食で始まった戦後の高度成長時代が、すでに地ならしだったとも言えます。というのは、映画に出てくるメキシコの労働者(元農民)の姿が、日本の高度成長期に都会へ出てサラリーマンという名の労働者になった農家の次男三男や、農閑期には女子どもだけ残して出稼ぎに明け暮れた東北の農家の姿と重なって見えました。

★監督より上垣喜寛さん

3/1の上映会は無事に終わり、「メキシコ人の生の声が聞けてよかった」などたくさんの感想をいただけました。メキシコへの留学経験者もいて、政治経済に関心ある方が多かったようです。

上映後の監督解説では、制作当初からこの映画だけで、すべてが伝えられると思っていなかった(意外な?)話をしました。

「行ったこともない人がたった50分でどこまでイメージを持てるか。映像を通して現在のメキシコの空気感をつかんでもらえれば充分。映像の中に説明をすべてを盛り込むのではなく、解説やパンフレットで補ってもらえる仕組みにしたかった」と尺(53分)にこだわった理由などに触れました。

大半が好評だった感想の中には、「わからなかった」「考えさせられた」と併記したものもありました。行ったことのない国や社会についてのイメージをふくらませるのは、そう簡単なことではありません。正直な感想ですね。今後も各地で上映をしてもらい、メキシコの現状の一片や、日本との重なりを伝えられればと思います。(「自由貿易に抗う人々」制作委員会/写真:主催団体 たねと食とひと@フォーラム )

映画の裏のテーマは「自立」でした。国や社会の仕組みだけでなく、企業や家庭などさまざまなところで「依存」に対する「自立」が常に課題になっている社会かもしれません。

以上

 

 

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