たねと食とひと@フォーラムは、たねといのちの多様性と持続性のために活動しています。

 2020年10月17日、11月7日、12月12日に開催したオンライン連続講座≪国連「小農宣言」「家族農業の10年」に学ぶ ~農と食から新しい社会をつくる~≫報告書ができましたのでご案内いたします。

【目次】

  • はじめに
  • 第1回2020年10月17日 「小農宣言」「家族農業の10年」の理念 池上甲一
  • 第2回2020年11月7日 国際的潮流から日本の農と食の未来を考える 関根佳恵
  • 第3回2020年12月12日 農業が育てる美~日本農業のこれから~ 飯野芳彦
  • 連続講座を終えて

【発行日】 2021年3月1日

【頒 価】 1,000円(当会個人会員価格800円)  ※送料はご負担いただきます。

【発行者】 たねと食とひと@フォーラム 東京都千代田区神田錦町3-21ちよだプラットフォームスクエア1342

      電話:03-6869-7206 / FAX:03-6869-7204 /  info@nongmseed.jp

【お申込み・お問い合わせ】 たねと食とひと@フォーラム事務局

      E-mail : info@nongmseed.jpまたはFAX:03-6869-7204へ


はじめに

 2020 年は、パンデミックに大きく揺さぶられた年となりました。多くの市民の外出自粛の一方で、いっそう重い労働を担うようになった人たちがいました。医療・介護や物流と並んで、農業に携わる方たちがエッセンシャル・ワーカーズとして認識されるようになりました。同時に、そのような不可欠の労働に対して十分な対価が支払われていないという事実に、改めて注意が喚起されました。私たちが以前からうすうす気づいていたけれども先送りしてきた課題が顕わになったのでした。

 農業についても多くの問題が噴出しました。外国との往来が止まり技能実習生の来日が途絶えた結果、多くの農場が労働力不足に陥りました。同時に、すでに来日していた実習生が職場を解雇され帰国もできなくなった結果、豚や梨などを大量に盗難するという事件も起こりました。はたして私たちは、日本の食を支える農業を外国からの実習生に任せていてよいのか、問われています。

 いくつかの国は農産物を自国に優先供給するため輸出を制限しました。その一方で、日本政府は農産物の輸出額 5 兆円という目標を掲げ、輸出のための農業生産を振興しています。海外から供給される飼料で和牛を育て、一般庶民には手の届かない値段をつけて海外に輸出する。緊急の気候変動対策が求められる中で、ますます大量の水やエネルギーを消費して農業の稼ぎを増やそうというのです。このようなモデルが地球に対する負荷を増すだけでなく危機のときには何の役にも立たなくなることを、コロナ危機は改めて顕わにしました。

 飲食店での会食自粛によって外食産業が苦境に陥りましたが、外食産業に卸していた多くの農家が供給過剰に陥りました。私たちが食べる量自体が減ったわけではないので、供給過剰は、今までの外食産業が多くの食品ロスを出していたことを示しています。その日に食べるものにも困っている人々がいる中で、大量の食品を廃棄することで経済を回していた、このような私たちの生活に、反省の目が向けられることになりました。

 コロナ危機によって顕わになった多くの問題を、広い視野で考えてみたい。たねと食とひと@フォーラムは、このような趣旨で本講座を開催しました。そのための切り口として、国連が決議した「家族農業の 10 年」「小農宣言」に注目しました。社会のなかでの農業の位置、消費者の農への関わり方について考えるきっかけにするためです。問題はズバリ、国連の決議は日本社会にとって具体的には何を意味するのか、ということです。背景には、「小農」や「家族農業」という日本語が決議や宣言の理念と必ずしも一致していないという事情があります。こうした言葉尻をとらえて「日本に小農はいない」とか「企業経営ではだめなのか」とかいう議論も聞こえてきます。国連総会の決議を日本の視点から受け止めるためにまず必要なのは、決議が掲げる理想を日本で生かすことが何を意味するのか、明らかにすることです。

 2020 年 10 月 17 日、11 月 7 日、12 月 12 日、2021 年 1 月 9 日に実施したオンライン連続講座の初回は近畿大学名誉教授の池上甲一さんに、国連決議の理念を解説し、その実践例を紹介していただきました。第二回目は愛知学院大学准教授の関根佳恵さんとともに、この理念を踏まえて、現在の国際的潮流と日本社会が取り得る方向性を考察しました。第三回目には、全国農業青年組織協議会元会長の飯野芳彦さんに、日本農業の現状とそれを取り巻く問題を教えていただきました。そして第四回目には、本講座に各地から参加してくださった方々がそれぞれに取り組んでおられる事例を共有し、国連決議の理念を日本社会に生かす可能性を具体的にイメージするように努めました。4 回を通して述べ百数十名の方々が視聴してくださいました。毎回の議論の内容もたいへん充実しており、より多くの方々とともに問いを深めていきたいと思い、本報告書を上梓いたします。

以上

この報告集は地球環境基金の助成を受けて作成しました

 

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