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   2019年10月26日付で農林水産大臣及び「有機JASにおけるゲノム編集技術の取扱いの検討会」委員へ意見書を提出しました。

 有機JASにおけるゲノム編集技術の取扱い検討に関する意見書


有機JASにおけるゲノム編集技術の取扱い検討に関する意見

  有機JAS制度への信用・信頼の維持のため、ゲノム編集技術応用作物・食品の使用は認められません。そのことを明確にするために、コーデックスガイドラインに倣い、除外項目・使用禁止項目を「組換えDNA技術」から「遺伝子操作技術」に変更することを求めます。 

  また、「有機JAS におけるゲノム編集技術の取扱いの検討会」の議論経過について広く公開することを求めます。

  農林水産大臣から日本農林規格調査会への付議を受け、9月末より農林水産消費安全技術センターにおいて「有機JAS におけるゲノム編集技術の取扱いの検討会」が始まったと聞いております。

  ゲノム編集技術は遺伝子組み換え技術の次世代版として登場してきた新しいバイオテクノロジーです。技術としてはまだ初期の段階で、今後予想される多重改変等も含めて評価は定まっていません。現在、人類史上これまで経験のないこの遺伝子改変技術の応用をめぐって、国内外での議論が続いています。日本でも、暮らしを取り巻く環境や日々の食卓に関わる農産物・動物の分野では、多くの市民が懸念の声を上げています。

  委員の皆さまには、有機JAS におけるゲノム編集技術の取扱い検討にあたっては、国際情勢や市民の意見を十分に考慮した上で、強い責任感をもって真摯に検討されることを求めます。

  日本の有機JASでは、2001年の制度開始以来、「組換えDNA技術」を「酵素等を用いた切断及び再結合の操作によって、DNAをつなぎ合わせた組換えDNA分子を作製し、それを生細胞に移入し、かつ、増殖させる技術」と定義し、使用を認めないこととしています。

  その後、2010年代より「ゲノム編集技術」という新しい技術が開発され、これまでの「組換えDNA技術」の定義にあてはまらない応用作物・食品が登場してきたことにより、日本でも2018年度から環境省、厚生労働省をはじめ他の関係省庁において関連する国内制度の見直しが進められてきました。その結果は、必ずしも市民の意見を十分に反映したものとは言い難いところがあり、食の安心・安全は予防原則に立脚すべきと考える市民の疑義や懸念はいっそう高まっています。

  日本の有機JAS制度への国内外からの信用・信頼を維持するためには、技術の進歩によりあいまいになってしまった除外項目・使用禁止項目のひとつ「組換えDNA技術」を「遺伝子操作技術」に変更し、これまでの「組換えDNA技術」応用作物・食品だけでなく、ゲノム編集技術応用作物・食品の使用も認めないことを明確にする必要があります。

  国際的な取り決めであるコーデックスのガイドラインでは、「遺伝子操作/遺伝子組換え生物」を、「遺伝子操作/遺伝子組換え生物、また、それらに由来する製品は、交配又は自然な組換えによって自然に生じることのない方法で遺伝物質を変化させる技術を用いて生産される」、「遺伝子操作技術/遺伝子組換え技術(技法)」を「組換えDNA、細胞融合、ミクロインジェクション、マクロインジェクション、被包化、遺伝子欠失、遺伝子の倍加等が含まれる。遺伝子組換え生物には、接合、形質導入及び交雑等の技術に由来する生物は含まれない」と暫定的に規定しており、「組換えDNA技術」応用作物・食品と同様にゲノム編集技術応用作物・食品の使用も認められないことになっています。

  もし、日本の有機JASが、世界に先駆けてゲノム編集技術応用作物・食品の使用を認めるようなことになれば、日本の有機JASに対する諸外国からの信用・信頼の著しい失墜は免れません。昨今では、農林水産省への食品輸出本部設置案も国会に提出され、農林水産物及び食品の輸出の促進を標榜する日本にとっては、輸出先国との協議における立場が不利になることが予想されます。国益への悪影響も見逃せません。

  EU諸国や北アメリカでは、社会全体で高まってきた環境への配慮や遺伝子組換え技術全般への消費者の不安等を受けて、有機農産物・食品の栽培・供給の割合が急速に高まっています。日本でも、同様に有機農産物・食品を選びたい生産者や消費者が少なからず増えています。2006年の有機農業推進法の成立以来、日本でも多くの生産者・消費者が同じ市民として、有機農業の価値を公益として見つめ直し、日々の努力を重ねて有機農業の維持発展を支えてきました。この動きに水を差すような判断が為されるとしたら、本当に残念なことです。

  食の安心は、信頼が基本です。日本でも、現在、国連が提唱するSDGsの推進をはじめ、エシカルな生産や消費への機運が、社会全体で高まっています。有機JASの見直しにあたっては、責任感のある未来への展望と視点が重要です。

  有機JAS におけるゲノム編集技術の取扱い検討にあたっては、ゲノム編集技術応用作物・食品の使用を認めない形に見直すことが急務です。コーデックスガイドラインの暫定的な定義に倣い、除外項目・使用禁止項目を「組換えDNA技術」から「遺伝子操作技術」に変更することを求めます。是非、妥当性のあるご判断とその議論経過についても公開をお願いいたします。

以上

参考資料

有機農産物の日本農林規格

有機農産物に係るコーデックス規格ガイドライン

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