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2/21、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会 報告書(案)ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱いについて」パブリックコメントを提出しました。

ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱いについて意見募集 提出期間1/24~2/24

厚労省報告書案


「厚労省ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱いについて」意見

当会では、国の検討に先立つ2017年6月8日、文部科学大臣、農林水産大臣、環境大臣、厚生労働大臣、内閣府消費者問題担当大臣、消費者庁長官に対して、「新育種技術の規制枠組みを要求する意見書」を提出しました。https://nongmseed.jp/archives/1994

意見書のむすびでは、「新育種技術に関する規制枠組みを早急に整えないことには、日本の食の安全と安心、また生物多様性の保全が脅かされることになりかねません。消費者、生産者の見地から、私たちは国に新育種技術に関する早急な規制対応を求めます。」と述べています。

2018年度、厚生労働省においても、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会のもと、遺伝子組換え食品調査会及び新開発食品調査部会を通じてゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱いについて検討が進められたことは評価します。

そのうえで、報告書(案)について、以下、意見を提出します。

意見

3の(1)ゲノム編集技術は、遺伝子を操作する技術という点で組換えDNA技術と同じです。違うのであれば新法律を制定するべきです。規制を検討する前提として求められる作業は、新しい技術が古い定義にあてはまるかどうかを文言上で判定することではなく法律または法律上の定義を見直すことです。食品衛生法の改正または規格基準の改定をするべきです。

理由

流通が目前に迫っていることを理由に、食経験の歴史が浅く安全性が確立されていないゲノム編集作物動物応用食品を安全性審査の対象外とすることは本末転倒です。遺伝子組換え食品に安全性審査を義務付けた平成12年の経験に学び、食品衛生法の趣旨や目的を鑑みて、法律の見直しまたは規格基準の改定を進めてください。関連して内閣府食品安全委員会安全性評価基準(遺伝子組換え食品)には、種子植物、微生物に加えて魚類等を含む動物についても整備が必要です。

意見

3の(1)予防原則に基づき、全てのゲノム編集技術応用食品に安全性審査の手続を義務付けてください。

理由

ゲノム編集技術の結果は完全に予測できるわけではなく、想定外のアレルゲンや有害物質が産生される可能性があります。可能性が指摘されているオフターゲット変異の評価は、国内外で未確立です。オンターゲットの変異で意図されない効果が生じる可能性も否定できません。十分な検証やリスク評価なしに食品として市場に出回ってしまえば、異常タンパク質によってアレルギー等の問題を引き起こすことも考えられます。食品安全性に重大な影響を及ぼしかねません。食経験の歴史が浅く長期にわたりゲノム編集作物動物応用食品を摂取した場合、体にどのような影響を及ぼすのか、また及ぼさないのかデータがありません。悪影響が生じる可能性が排除できない以上、予防原則に基づいた規制を整備する必要があります。国ごとに対応が分かれるのも不安です。日本で一部を規制しないという事は、国が食の安全ひいては国民のいのちと健康を守る義務を放棄することになりかねません。予防原則に則ったルールづくりは、国民から信任されて政策や方針を決定する立場にある人々の社会的責任でもあります。

意見

3の(1)トレーサビリティを確立させ、届け出を義務付け、可能な限り情報を公表する仕組みをつくってください。表示ができる仕組みも整えてください。

理由

外来遺伝子を含まない作物によって問題が生じた場合、追跡や回収が困難です。被害拡大を防ぐためにも、遡って原因を究明し、責任を明らかにすることができるトレーサビリティの確立が必要です。そのためには、開発者、事業者に開発に関する情報の届出を義務づけ、可能な限りの情報開示を行い、さらに科学的検証だけでなく社会的検証も併用(届け出情報、ゲノム編集ツールの購入履歴を活用)しなければなりません。また、検知法を含め世界レベルで更なる技術開発の進展が見込まれていますので、それに合わせてたえず効率化を図る必要があります。遺伝子改変を施された食品は避けたいという消費者が多いのも実状です。消費者の知る権利や選ぶ権利を確保するため、厚生労働省では、届け出の義務化と情報開示など、消費者庁で検討される表示が可能な制度づくりを整えてください。

意見

4の(1)信頼される規制づくりのためには、広くリスクコミュニケーションを推進することが必要とされています。国会での審議も欠かせません。

理由

食品の安全性はもちろんのこと、食の安心には信頼関係の構築が必要となります。報告書案の説明会では東京と大阪の2か所のみでした。国民の合意を得るには、一方的な説明ではなく、きめ細かなリスクコミュニケーションの実施が求められます。国民の代表による国民目線を尊重した国会での慎重な審議も欠かせません。

以上

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