現在、日本では大豆、小麦など、醤油の原材料の多くを、アメリカ、カナダ、ブラジルを中心とした海外からの輸入に頼っています。しかし、現行の食品表示制度では、醤油は遺伝子組み換え原材料を使っていたとしても、表示は義務化されていません。そのため、店で商品を手に取ったとき、遺伝子組み換えでないものを選ぼうとしても、選ぶことができません。そこで、2017年2月27日、醤油メーカー11社へ遺伝子組み換え原材料に関する質問状を送付、3月17日までに10社から回答がありました。 *質問内容についてはこちらをご覧ください。「醤油メーカー11社へ遺伝子組み換え原材料について質問状を送付しました。」
調査の結果、小麦については、国産の他にアメリカ・カナダ等の輸入原材料も使われていますが、回答のあった各社とも国内で遺伝子組み換え小麦は流通していないという認識でした。また、大豆については、アメリカ・カナダ等からの輸入が中心ですが、回答のあった各社とも「遺伝子組み換えでない」大豆を使用していました。脱脂加工大豆については、一部遺伝子組み換え不分別のメーカーがありました。
主原料(大豆・脱脂加工大豆)以外の、醤油製品に含まれる添加物・調味料(アルコール、果糖ぶどう糖液糖、みりんなど)について、遺伝子組み換えでない原料を使っているメーカーは、回答のあった10社のうち4社でした。それ以外の遺伝子組み換え不分別の原料を使っている各メーカーからは、仕入先の果糖ぶどう糖液糖等の異性化液糖業界が遺伝子組み換え不分別の原料を使っている限りは、遺伝子組み換えでない原料に戻すことはむずかしいと回答がありました。
現在、遺伝子組み換えでない原料を使っているものについては、消費者ニーズにかなうため、安定調達できるなら、これからも遺伝子組み換えでない原料を使い続けたいとのことです。回答からは、認証や検査にもコストがかかり、価格面でも厳しくなる中で、各社が努力している様子が読み取れます。
醤油の原材料に使用する穀物等については、輸入依存度が高いために、世界的に遺伝子組み換え作物の栽培が広がるほど、遺伝子組み換えではない原材料を入手することが困難になってきている状況が伝わってきました。
このままでは、近いうちに、私たちが日常的にさまざまな料理に使用している醤油にも、遺伝子組み換え不分別の原材料が広く使用されることになるかもしれません。
今回は、醤油メーカー11社に公開質問という形で問い合わせることで、全てのメーカーからではありませんでしたが、おおよその現状について回答を得ることができました。遺伝子組み換えの問題についてはさまざまな意見がありますが、消費者が広く情報を得て、選択できる表示も望まれます。
回答にある遺伝子組み換え“不分別”とは遺伝子組み換えのことです。
★醤油メーカー回答一覧表
マルキン・盛田株式会社 残念ながら回答をいただくことはできませんでした
以上
この企画は地球環境基金の助成を受けて実施しました。