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以下に掲載するのは、2016年3月6日にアメリカ上院でGMO表示に関する法案が否決されたことを受けて、新たに6月23日にアメリカ上院農業委員会で可決され、今後上院で議論される法案についての記事です。この法案はバーモント州、コネティカット州、メーン州、アラスカ州ですでに成立している表示についての法律を無効にしたうえで、全米規模での表示を義務化するものとなっています。ただし義務化される表示方法に関しては企業側の裁量の余地が極めて大きく、事実上の非表示にかなり近い仕方をも許容するものとなっています。たとえばQRコードやウェブサイトのみの表示でもよいのですが、これでは携帯電話、スマートフォンを持たない貧困層にとってはほとんど意味がありません。この点を指摘しているのが以下の記事です。

GMO表示に関する上院の妥協は、アメリカでの知る権利に対する逆風だ 

「スマートラベル」を促進させるための新しい法案は、アメリカ人の3分の1を煙に巻こうとするバイオテクノロジー企業の道のりである

今日、米国上院の農業・栄養・林業委員会は、どんな食品を購入したのかを知る権利をアメリカ人の3分の1から奪うような法案の内容を発表した。

アメリカ人の知る権利を否定する「DARK法案」の最新版は、GMO製品やバイオテクノロジー産業への批判をなだめるための妥協だった。

この妥協法案では、スマートフォンもしくはフリーダイヤルでのみアクセス可能なQRコードとスマートラベルを用いたラベル表示を、パッケージ上への印刷による明快な遺伝子組み換え表示の代わりに求める。

この法案では様々な新しい形の遺伝子組み換え食品に関するラベル表示は求められず、現存の遺伝子組み換え食品や種子のほとんどがラベリングを免除されることになる。

土壇場で発表されたこの法案では、あらかじめ全ての州レベルでの表示義務を無効としており、バーモント州・コネティカット州・メーン州・アラスカ州での食品表示に関する法案も無効になってしまう。しかも、遺伝子組み換え原料の存在についての表示が、基本的にはQRコード・ウェブサイト・電話番号によるものしか求められない。

以下はCenter for Food Safety事務局長のアンドリュー・キンブレルによる声明である。

「この新しい法案は、アメリカ人の知る権利と食品業界の現在の動向に対する、とてつもない逆風であり、様々な点で以前に阻止された”ダーク法案”の単なる繰り返しどころか、さらに悪くなっている。バーモント州やメーン州などの州の民主的な意思決定を阻止しようする、極めて非常識な企みだ。スタベノウ氏、ロバーツ氏、ハイトカンプ氏といった、バイオテクノロジー企業から数十万もの寄付を受け取ってきた上院議員たちによる謝礼のようなものだ。」

「これは表示法案ではなく”非表示法案”だ。印刷された明快な遺伝子組み換えに関する表示は、全てのアメリカ人が食品の情報に平等にアクセスできることを保証するために義務づけられているべきだし、それによって我々が何を購入し、自分の家族に何を食べさせるかについて知らされた上で選択することができる。この法案の求める表示システムは、スマートフォンを自分で所持していない3分の1のアメリカ人に対して不十分かつ差別的であり、まして、インターネットにアクセスできない地方在住者・低所得者・高齢者に対してはもっと差別的だ。」

「私たちが選挙で選んだ議員たちが、アメリカ人を食品の中に何が入ってるかの情報から遠ざける法案を支持していることにぞっとする。そして、大手の化学企業や食品生産企業の代理としてそれを行っていることにはますますぞっとする。私たちはこれまでもこれからも、”ダーク法案”を倒すために尽力していく」

2016年6月23日Center for Food Safety(食品安全センター)から転載

(翻訳:小泉佑太郎)

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