たねと食とひと@フォーラムは、たねといのちの多様性と持続性のために活動しています。

シリアルメーカー6社中4社より遺伝子組み換え原材料に関する公開質問への回答が届きました。

シリアルメーカー公開質問回答一覧

アサヒ食品グループ株式会社 回答

日本食品製造合資会社 回答

カルビー株式会社 回答

日本ケロッグ合同会社 回答

当会が新たに試みたのは、シリアル類を対象にした遺伝子組み換え作物の使用状況についての調査です。シリアル類と聞いてピンとこなくても、コーンフレークやグラノーラといえば思い当たる方も多いのではないでしょうか。

朝食の定番であるご飯やパンに加え、近年はシリアル類がもうひとつの選択肢として浸透し、消費は年々増加傾向にあります。そしてそのシリアル類の売り上げの7割を占めるのは、コーンフレークではなくグラノーラなのだそうです(2016年統計)。忙しい朝に適した手軽さや、バリエーションに富んだ風味、健康的なイメージが消費者に受け入れられているようです。

シリアル類には現在のところ、原材料に関して遺伝子組み換え表示義務はありません。というのもコーンフレークを含むシリアル類は、組み換えられた遺伝子やたんぱくを検出する分析技術がないとして、これまで表示が義務付けられなかったからです。しかし近年分析精度が向上し、消費者庁の「遺伝子組み換え表示制度に関する検討会」において、コーンフレークは表示義務対象品目に追加する方向で検討されています。(昨年11月に行われた検討会では、検査方法の再現性に疑問があるとして表示義務追加は見送られたものの、議論は継続中)

今回、調査の対象としたのは、カルビー、日本ケロッグ、日清シスコ、アサヒ、坂金製菓、日本食品製造の6社です。このうち回答があったのは4社で、日清シスコ、坂金製菓の2社からはご回答をいただけませんでした。

調査の結果、4社とも、コーンフレーク、コーングリッツ、シリアルパフなどの主原料は遺伝子組み換えでないものを使用しているとの回答がありました。一方、ビタミンE、乳化剤、ぶどう糖果糖液糖などの添加物については遺伝子組み換え不分別であったり(日本ケロッグ、アサヒ)、そもそも添加物自体の表示義務がないために、遺伝子組み換え由来の可能性を完全には否めない(日本食品製造)といった状況がわかりました。カルビーからは表示義務のあるもののみ回答があり、添加物等に関する回答はいただけませんでした。

多くのシリアルのメーカーが、これまでの食品調査と同様に、遺伝子組み換えでない原材料の安定した調達の難しさ、製品価格とのバランス、遺伝子組み換え原材料の使用理由が安定供給である点を挙げていました。

そして今回の調査で最も興味深いと思われるのは、質問⑤に対する各社の回答です。質問⑤では、遺伝子組み換えでない原材料の製品を供給するための課題を尋ねています。なかでも、日本食品製造の真摯な説明と回答は目を引くものでした。

日本食品製造は、遺伝子組み換えに関する課題を極めて難しい世界的課題とし、遺伝子組み換え作物が栽培される理由と栽培されない理由を、多面的に理解する必要があると述べています。次いで、遺伝子組み換え作物を栽培する国々や生産者側の事情、消費者側の問題点、日本食品製造が有機食品を扱う理由などが丁寧に綴られており、消費者にとっても実に考えさせられる内容でした。(各社アンケートの詳しい内容は、文末をご覧ください)

遺伝子組み換えに対する心配は健康への影響だけではありません。種、農業、世界規模の経済や政治領域にまで及ぶ大きな問題です。けれども、この問題は大きすぎるあまり、私たちの日常とはかけ離れたものに感じられ、思考すること自体を止めてしまいそうになります。しかし、これまでの数々の食品調査結果を俯瞰すると、企業自らの利益と、多様な消費者が求める「原材料や品質の安心」「安定供給」とのはざまで、妥協点を見出そうとしているメーカーも少なくありません。私たちの買い物=選択を伴う消費活動によって、メーカー側に少なからず影響を与えているのは明らかです。世界規模の遺伝子組み換えの問題は、私たちの消費活動と密接に結びついているのです。

何を選び、何を選ばないのか。何を優先させるのか。普段の何気ない買い物でふと商品の表示を見たり、背景にあるものを考えてみるだけでも、意味ある選択に繋がります。主体性を持った消費活動は、遺伝子組み換えの問題を変えていくはずです。

以上

2018年4月26日更新

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