2017年6月17日にたねと食とひと@フォーラムが開催した通常総会記念講演「ゲノム編集で食と農はどうなるのか」の講演録及びDVDが完成しました。※DVDは完売しました。ありがとうございました。
講演録より はじめに
私の現在の専門は社会学です。特に環境社会学の領域で環境問題を社会の目から見ることをやっています。その中に遺伝子組み換え食物の問題も含まれています。
実は、大学では農学部の農芸化学でタンパク質や酵素を勉強し、卒業後は製薬会社で10年ほど抗がん剤の基礎研究をやっていました。その中で遺伝子工学的手法を使ってバイオの医薬品を作っていたわけです。1980年代のことでしたが、当時、遺伝子組み換えを使ったさまざまな食品、製品、医薬品が多く出てきて、今でもたくさんの方が使っています。
90年代になって、今度は農作物が出てきたので、私は社会学の分野に転向しました。遺伝子組み換えが農業や食料の問題になり、植物の特許などについてバンダナ・シバさんが、「それは絶対に良くない」と主張されました。私は会社で自分の研究においていろいろな特許を書いたりしていたわけです。元々自然にある遺伝子を見つけて、それを自分の物だとして特許をとるのはおかしいのではないかと思っていたので、バンダナ・シバさんのお話を聞いて、国際的な南北問題もかかわる大きな問題になると考えました。特許をとっていたのは、ヨーロッパやアメリカの大企業だからです。
そして、自然科学的なことより社会学という広い領域で自分にできることがないだろうかと、文系の大学へ入り直しました。ですから、多少生物学や分子生物学の話もわかり、一方で社会学の立場から、一般市民の一人の素人として、この科学の問題を考えたいと思っています。
以上
1960年千葉県生まれ。東京大学農学部農芸化学科を卒業し、化学メーカー研究所でバイオ医薬の研究開発に携わる。その後、筑波大学大学院で博士(社会学)。専門は科学技術社会学、環境社会学。本講演に関連する出版物として、『遺伝子組換え作物―大論争・何が問題なのか』(明石書店、2001年)、『農業と経済2017.3 臨時増刊号』論文「バイオメジャーはどこへ向 かうか―業界再編のメカニズム」など。
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