2017年10月、たねと食とひと@フォーラムは絵本『たねがいのちをつなぐ~知って選ぼう 遺伝子組み換え作物と食品~』を発行しました。
発行日:2017年10月
頒価:300円
発行者:たねと食とひと@フォーラム
監修:西川芳昭龍谷大学経済学部教授(農業・資源経済学)
制作・デザイン:吉野敏充デザイン事務所
たねがいのちをつなぐより
「自分たちの食べるものは自分たちで決めたい。」そんな当たり前のことが実際には難しいのが、現代日本に生きる私たちの食生活である。ほんの百年前くらいまで、ほとんどの食料が近所で作られていたときは、自分の食べるものがどのように作られているかは、みんなが知っていた。選択肢は少なかったかもしれないが、季節ごと・地域ごとの食べ物で食卓がにぎわっていた。
それが、前世紀半ばに、日本では農業基本法が導入され農産物の産地化が進められ、世界では遺伝子組み換え技術が開発され、多くの食品が農産物ではなく、加工食品として食卓に上るようになった。一部の生活協同組合や、産消連携で食材を手にしている消費者は別にして、多くの市民は何を食べているかを知る機会がほとんどない。
その一方で、遺伝子組み換えよりも歴史も長く科学的にも充分な知見のあるハイブリッド(異なる品種の掛け合わせ)でさえ、雄性不稔の遺伝子を使っているからそんな野菜を食べると無精子症になるなどの非科学的な情報も蔓延している。
遺伝子組み換え食品を世界一食べていると言われる日本人。人体に無害であるとも有害であるとも科学的に証明されているわけではない。どう判断するかは一人一人にゆだねられている。私たちは、まず遺伝子組み換え作物の仕組みを知り、流通の方法に眼を配り、科学的な知識を得たうえで判断することが大切である。そして、選ぶことができる表示を企業に義務付けることも大切である。この冊子が、多くの子どもたちとその親たちの手に取られ、遺伝子組み換え作物についての正しい知識をつけて、自分の食べるものを選ぶことのできる生活へと一歩進める手立てとなるように期待している。
監修 西川芳昭 龍谷大学経済学部教授(農業・資源経済学)