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“これは恥知らずなごまかしだ” ─ バーバラ・ボクサー上院議員

「モンサント保護法案」「ダーク法案」などと揶揄されていた「安全で正確な食品表示法」がアメリカ上院で否決され、遺伝子組み換え(以下、GE)食品に対するアメリカ国民の「知る権利」を守るための戦いで私たちは勝利を収めた。事実、ゼネラル・ミルズやケロッグ、マーズといった大手食品メーカーはGE食品に対し適切なラベリングを行うと発表している。

しかし、これは消費者がGE食品を買うかどうかという選択肢を与えたくない、モンサントのようなバイオテクノロジー企業にとっては極めて不都合な展開である。ゆえに、彼らは再び議院に対し金融面での圧力をかけ、新しいダーク法案とでも言うべき法案を2、3週間以内に通そうとしている。

この新しい法案を推しているのはデビー・スタベノウ上院議員だ。バイオテクノロジー産業や共和党と組んでこの法案を通し、購入者とその家族が食べるものについての情報を不透明にしようとしている。

なぜスタベノウ上院議員はこのような、民主主義と消費者を欺く法案を推進しているのだろうか?それを知るためには金銭の動きを追うべきだ。彼女は、過去5年間でモンサント、ダウ、コカ・コーラなどの企業から50万ドルを超える大金を受け取っている。GE食品に対する適正な表示を彼女が必死に妨害しているのも納得がいく。

スタベノウ上院議員の新法案は、バーモント州やコネチカット州、メイン州でようやく実現したGE食品表示の法律を削除させ、より民主的な未来への萌芽を踏み潰すだけではなく、既存のシンプルな食品表示をとりやめ、かわりにQRコードや800番号サービス ※1 によるアクセスを消費者に強いるものだ。

QRコードによる表示は実際には表示とも呼べない。差別的で、煩雑で、プライバシーに対する脅威まである。

スマートフォンを所持しているアメリカ人は64%。この時点で3分の1以上のアメリカ人はQRコードを用いた食品表示を見ることができない。しかも、これによって取り残されるのは低所得層や非都市部に住む人々である。ピュー研究所によれば、低所得者のスマートフォン所持率は約50%、非都市部に住む人々の所持率も52%しかない。高齢者の所持率に至ってはわずか27%だ。まして、スマートフォンを所持していても常にインターネットに接続できる保証はない。つまり、QRコードを用いた表示では、多くのアメリカ人が情報を得る権利を奪われることとなる。

購入したものについて知るのは、私たち全員に与えられるべき権利である。テクノロジーを使いこなす金銭的な余裕と知識のある一部の人の贅沢であってはならない。

※1 日本のフリーダイヤルにあたる

2016年5月19日Center for Food Safety(食品安全センター)から転載

(翻訳:小泉佑太郎)

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