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Tomato-GMO 遺伝子組み換え表示義務がまったくなかったアメリカで、昨年、画期的な出来事があった。バーモント州が遺伝子組み換え食品に表示を義務づける法案を可決したのだ。施行は2016年7月からで、それまでが準備期間とされた。コネティカット州、メイン州でも類似の法案は成立していたが、いずれも条件付きでの発効とされたため、現実に発効するのはいつになるかわからなかった。だから、やっとのことで表示義務化に向けて現実に動き出した州ができたことは、非常に意義深いことだった。これをマイルストーンとして、市民の「知る権利」の確立がさらに多くの州で実現されていく、という期待にみなが胸をふくらませ、多くの州で表示義務化に向けた市民運動が展開されるようになった。

ところが、そうは問屋が卸すものか、と遺伝子組み換え業界は反撃を企んだ。カンザス州選出のマイク・ポンペオという議員に、そうした州法を無効にするための連邦法案を提出させたのだ。

Mike-Pompeoこの法案は市民の「知る権利」を葬り去ろうとするものとして、「暗黒法案」と批判されたり、また「モンサント保護法案」とも呼ばれている。

H.R.1599、正式名称を「安全で正確な食品表示法」というこの法案が、2015年7月23日、アメリカ下院を通過してしまった。賛成275 、反対150という大差だった。

 

この法案の内容は

  1. 州レベルでの遺伝子組み換え表示義務化法を無効化
  2. →これによってバーモント州でせっかく成立した法案も無効化されてしまう。
  3. 実質的にFDA(アメリカ食品医薬品局)による連邦レベルでの遺伝子組み換え表示義務化を不可能にする。
  4. 州や郡単位で遺伝子組み換え作物の栽培禁止や制限を無効化

→これによってオレゴン州のジャクソン郡とジョセフィーヌ郡、ハワイのマウイ郡で成立した遺伝子組み換え作物栽培禁止令が無効化されてしまう

  1. 食品メーカーが、非遺伝子組み換えの製品が、遺伝子組み換えの製品よりも優れているかのように示唆することを禁止
  2. 「Non GM(非遺伝子組み換え)」という任意表示は、アメリカ農務省が新たに定める認証制度に適合した商品以外に認めない。

→しかし、アメリカ農務省が新たな基準を策定するまでには数年かかる可能性があり、その間、これまでNon GMと表示してきた食品メーカーも、その表示が違法となってしまう。結果として、どれが遺伝子組み換えで、どれがそうでないか、まったくわからなくなってしまう(少なくとも数年間は)ことが危惧される。

マイク・ポンペオは議会の中で「真実に基づく正確な表示であれば、Non GMと表示することを禁止するものではありません」と釈明していたらしいが、現実的には数年間表示禁止に等しいことから、「マイク・ポンペオは自分の書いた法案を本当にわかっているのか?」「“暗黒”で、読めないに違いない」などと皮肉られている。

アメリカは自国の法律を他国にも強引に押し付けてくる国だ。この悪法がもしも成立してしまうと、アメリカの日本への圧力もより一層強まるに違いない。遺伝子組み換え表示撤廃への圧力、そして栽培制限への圧力も起こり得る。日本にも、遺伝子組み換え作物の栽培を届け出制とし、実質的な禁止に等しい措置を取っている自治体が、北海道など複数あるからだ。

この法案を上院通過だけはなんとかして阻止してほしい。

安田美絵(マクロビオティックと持続可能な食の学校 Luna Organic Institute主宰)

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