遺伝子組み換え問題を知る・考えるためのポータルサイト
Tanet(たねっと)は、たねと食とひと@フォーラムが運営するウェブサイトです。

ears
インターネット上にある遺伝子組み換えに関する情報には、間違ったものが多々見受けられます。
悪意をもって騙そうというわけではなく、良心から発せられた警告なのだけれど、勘違いや知識不足から事実に反することが書かれている、というケースが多いのです。

昨日もそんな記事のひとつを見かけました。

【世界ニュースの裏 アメリカの肥満大国は小麦のせい? – 遺伝子組み換え小麦とTPPの危険性】
http://www.newsnoura.com/tpp/%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E7%B5%84%E3%81%BF%E6%9B%BF%E3%81%88%E5%B0%8F%E9%BA%A6%E3%81%A8tpp/

この記事には遺伝子組み換え小麦のせいで、アメリカ人は病気になっているようなことが書かれていますが、遺伝子組み換え小麦の商業栽培はアメリカですらまだ始まっていません。(※参考資料1)
(間違って事故的に生えてしまった、ということはありましたが)

大豆やトウモロコシなどが家畜の餌や油の原料になるのと違い、小麦は直接人間が食べるものなので、さすがのアメリカでも拒否反応が激しく、いまだに認可されないのです。

この記事の中に紹介された動画を見ると、アメリカ人のドクターが、小麦の問題について語っており、現代の小麦は、昔の小麦と遺伝的にまったく別物なのだ、というような話をしています。しかし、それは交配による品種改良によって、昔の小麦と今の小麦が別物になってしまった、というだけの話であり、今市場で流通している小麦が遺伝子組み換えであると言っているわけではありません。「遺伝子」とか「遺伝子組み換え」という言葉もインタビューの中に何回か出てくるため、このブログの筆者が勘違いしてしまったものと思われます。

司会者:Why in your estimation is wheat so bad?
(あなたの評価では、どうして小麦はそんなに悪いのですか?)

ウィリアム・デイヴィス博士:It’s not wheat.
(それは小麦ではありません)
It’s 18 inches tall plant created by genetics reserach in 60’s and 70’s.
(それは遺伝子研究によって60年代から70年代にかけて生み出された18インチの植物です)

ここで言及されている、60年代から70年代にかけて開発された小麦というのは、「緑の革命」と銘打った品種改良プロジェクトが行われた頃に生み出された、背が低く(=穂が重くなっても倒れない、また茎をつくるべき養分が穂の方に行く、というメリットがあります)、収量が多い(多くの肥料や多くの水をやるなどの条件付きでですが)小麦を指していると思われます。

「それは近代的な遺伝子操作技術より以前につくられたものです」とこのドクターも言及しているとおりで、「遺伝子組み換え技術が誕生する以前の技術」すなわち交配による育種で作りだされたものでしょう。(※参考資料2)。

遺伝子組み換え作物がアメリカで(そして世界で初めて)認可されたのは 1996年のことです。(※参考資料3)

60年代~70年代には、技術はまだそこまで発達していませんでした。

品種改良によって、現代の小麦はたん白質が複雑化して、消化されにくくなっている、という話は他でも聞いたことがあります。

そうした事情を考慮してのことでしょう、品種改良されていない「古代小麦」でつくったパンやパスタも最近流行っているようです。

☆参考資料1 モンサント社ウェッブサイト「世界での作付面積」
http://www.monsanto.co.jp/data/plantarea.html
とうもろこし、大豆などの遺伝子組み換え作物の作付面積が記されていますが、小麦はどこにも書かれていません。これは遺伝子組み換え小麦の商業栽培はいまだに行われていないことを意味しています。

☆参考資料2「Wikipedia 緑の革命」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%91%E3%81%AE%E9%9D%A9%E5%91%BD
の中の「農業生産と食料安全保障」の項の「テクノロジー」で書かれているような 技術がここで言及されていることだと思われます。

☆参考資料3「Adoption of Genetically Engineered Crops in the U.s.」アメ リカ農務省データ
http://www.ers.usda.gov/data-products/adoption-of-genetically-engineered-crops-in-the-us.aspx
トップページにも
This data product summarizes the adoption of herbicide-tolerant and insect-resistant
crops since their introduction in 1996.
とあり、遺伝子組み換え作物の導入が1996年であることがわかります。
また、このページ、右下に
corn, upland cotton, soybean という3種の作物が挙げられているのは、これが アメリカで栽培される代表的な遺伝子組み換え作物であるからです。

安田美絵(自然食料理教室&持続可能な食のセミナー ルナ・オーガニック・インスティテュート主宰)

運営団体について

たねと食とひと@フォーラム

住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21
ちよだプラットフォームスクエア1342
電話:03-6869-7206
FAX:03-6869-7204
E-mail:info@nongmseed.jp

当会についての詳細
運営規約

Tweet