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11月4日、アメリカのオレゴン州とコロラド州で、遺伝子組み換え表示義務化の賛否を問う住民投票が行われました。結果は2州とも否決。オレゴンでは49%:51%と僅差で、コロラドではなんと66%:34%の大差で否決されてしまいました。

この残念な結果の背景には、アグリビジネス企業と食品企業が表示義務化反対キャンペーンに莫大な金額を注ぎ込み、テレビコマーシャルを垂れ流し続けたことがあります。遺伝子組み換え作物の特許を持つモンサントやデュポン、ダウケミカル、食品企業のコカ・コーラやペプシコ、クラフトなどが、反対キャンペーンのために注ぎ込んだ金額は、オレゴンで210万ドル近く、コロラドで170万ドル近くにのぼります。

「遺伝子組み換え表示をすることで余分な手間がかかり、余計な経費がかかるため、食品の値段が上がってしまいます。消費者が損をするんですよ」などと盛んに宣伝するために、多くの消費者が混乱してしまい、住民投票で否決される、ということが、おととしのカリフォルニア、去年のワシントン、そして今年、と3年連続で繰り返されてきました。

NGO「フード・デモクラシー・ナウ」はこの投票に関して、次のように述べています。

「この住民投票が何に関するものかといえば、それは本当は、われわれの民主主義についてであり、自由についてであり、消費者の選択の権利についてなのだ。真に問われているのは、誰が民主主義のルールを決めるのかということだ。あなたなのか、一般市民なのか、それとも巨大化学企業なのか。われわれが闘っているのは、基本的な民主的な権利のためであり、根源的な人権のためであり、われわれの食べるものに何が入っているかを知るという単純な権利のためなのだ」

まさにそのとおりであるのにも関わらず、今年もまた同じ結果になってしまったことは誠に残念と言わざるを得ません。

しかし「食品が遺伝子組み換え原料を含んでいる限り、消費者の知る権利に対する要求が後退することはない。闘いの場は首都に移ることになるだろう」とNGO「ジャスト・レイベル・イット」の活動家スコット・フェイバー氏は述べています。表示義務化を求める人々は、連邦政府レベルでの遺伝子組み換え食品表示義務化を今後追求していく構えのようです。

一方、表示義務化反対派は今年バーモント州で成立したような表示義務化法を無効にする法案を連邦レベルで制定しようと画策しており、今後はそのせめぎ合いとなるものとみられます。

同じ日にハワイのマウイ郡で行われた住民投票では、マウイ島内での遺伝子組み換え作物の栽培を一時的に禁止とする法案が50%:48%で可決されました。法案は、いかなる栽培も試験栽培も禁止し、遺伝子組み換え操作をマウイ群においては完全に止めるというもので、環境面や公衆衛生の面で安全無害であることがマウイ郡における研究によって確認されるまで、という期限が付けられています。

モンサントもダウアグロサイエンスも、遺伝子組み換え作物の栽培実験や、販売用の種子採取のための栽培をマウイにおいて既に実施しており、両社は「この禁止令は違法であると確信している」「わが社の法的権利を守るために裁判所に訴える」などと表明しています。

一方、食品安全センターハワイ支所の所長、アシュリー・ルーキンズ氏は次のように述べました。

「ハワイの人々の健康や安全を確保するための規制もなしに、遺伝子組み換えが広がっていくのを、われわれはもうこれ以上ただ漫然と傍観することはしない、という本当に力強いメッセージを、アグロケミカル産業に対して発することができたと思う」

ここマウイ島でも、モンサントやダウアグロサイエンスなどの大手企業は、巨費を投じて反対キャンペーンを繰り広げ、そこに投じられた額は、法案支持派が投じた額の実に87倍にものぼったといいます。その圧倒的な資金力の差にもかかわらず、栽培禁止が可決されたことは実にすばらしいことです。この小さな勝利を励みに、市民の当たり前の権利が当たり前に保証される世の中に向けて、前進を続けましょう。

安田美絵(健康と持続可能な食の学校 ルナ・オーガニック・インスティテュート

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