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前回の記事では、以下の展開を説明した。2月末のシンガポールTPP閣僚会合までは日本の交渉姿勢はギリギリ農水委決議を守る方向であった。ところが、この会合時に、日本は改めて日米協議のやり方を米国と合意した。同時に、西川公也・自民党TPP対策委員長が閣僚会合のさ中の24日、ロブ豪貿易・投資相と会談。日豪EPA交渉を加速させる方向で話をまとめた。このシンガポール会合で日本は交渉姿勢を転換させたと思われる。

 

前回書いたように、以降日本は4月7日に日豪EPA大筋合意に至った。再度強調しておくが、この交渉は日米協議と同じ手法を用いたと見られる。またマスメディアでは取り上げられていないが、農林水産品195品目以上が、即時ないしは段階的、季節の関税撤廃に合意している。これにまつわる国内の影響と隠された目的については別記事で取り上げることにする。

 

現在進められている、日米協議では、関税の撤廃・引き下げ、関税撤廃・引き下げにかかる期間、低関税輸入枠および枠内関税の段階的撤廃ないしは引き下げと枠の段階的引き上げ、セーフガードの導入および発動条件などの組み合わせで着地点を見出すこととしている。繰り返しになるが、これは日豪EPA交渉でも同じであったと考えられる。

 

さて、4月下旬にオバマ米大統領が来日して、日米首脳会談が行われることになった。大統領来日に際して、日本は「国賓待遇」で迎えることも決定した。しかしながら、慣例で国賓待遇するには大統領に2泊3日してもらわなければならない。25日には大統領は離日し、次の訪問国である韓国に向かうことになっていた。米国側は24日来日25日離日を主張していた。これだと国賓待遇にはできない。ギリギリの調整が続き、直前になって大統領の23日来日が決まった。

 

この日米首脳会談と日米共同声明について、3人の論者の論を紹介しておきたい。

 

まずは、政治評論家の野上忠興氏の論。

 

⇒日本農業新聞2014年5月1日『TPP攻防 ”補選怖さ”で踏み込めず 政治ジャーナリスト 野上忠興』

http://twishort.com/BTofc

 

この論で大事な部分は、外務事務次官・齊木昭隆氏が14日に訪米し、その報告を安倍首相に上げているという点である。ただ、TPPに関する見方は私の説とは異なる。

 

続いて、反米保守の立場の論客である東田剛氏の論。なお、周知のとおり、この名前は中野剛志氏のペンネームであることは、サイト内の至る所を見ても伺える。

 

⇒東田剛2014年4月30日『予想を外した東田剛』

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/04/30/korekiyo-94/

 

大事なのはこの部分である。

 

「結局、こういうことだったと思われます。

 

そもそも、日本側が、オバマ訪日を強く希望し、尖閣に関する米国の立場をわざわざ共同声明で確認することに固執した。

 

そこで、米国は何も失わずして交渉を有利に進められるチャンスが訪れたと判断し、共同声明の文言を人質にとったのです。

 

その共同声明が出たということは、日本はおそらく何らかの大幅譲歩をした。こう推測できるわけです。」

 

なお、念のため、この論者の持っていきたいであろうと思われる日本の核武装を含む再軍備にたいして、私は否定的であることを記しておく。

 

最後に、外交評論家の孫崎享氏の日本農業新聞での見解を挙げておく。

 

⇒日本農業新聞2014年5月9日『[解説 TPP交渉の今後 識者に聞く 2] 国益守る“とりで”に 元外務省国際情報局長 孫崎享氏』

http://image.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=27592

 

この記事の「今回の日米首脳会談で「米国は安保で譲ってTPPで取ろうとした」といわれるが、それは違う。会談後の共同会見でオバマ大統領は、尖閣諸島は日米安保の適用対象と言ったが、「ヘーゲル国防長官もケリー国務長官も日本側に言ってきたことだ」と付け加えた。日本が実質的に取ったものは何もない。単に大統領に言わせただけだ。」の部分は東田剛(中野剛志)氏と一致している。

 

東田剛(中野剛志)氏が指摘しているように、「日本はおそらく何らかの大幅譲歩をした」とすればいったい何であろうか。

 

自民党の比例区の参議院議員で元JA全中専務理事の山田俊男氏のブログに興味深い記述がある。

 

⇒2014年4月28日山田俊男『共同声明から消えたセンシティビティ』

http://ameblo.jp/toshio-yamada/page-2.html#main

 

この「そこ(引用者注:日米共同声明)には、安倍総理が昨年2月に訪米し、オバマ大統領と共同声明に盛り込んだ「両国には貿易上のセンシティビティがある」との文言がどこにもありませんでした」は極めて重要である。

 

先の4月7日の日豪EPA大筋合意は、大学教員の会が声明を出したように、06年12月の国会決議を破っている。そして日米共同声明では昨年の日米首脳会談の際の共同声明にあった「センシティビティ」が外された。

 

いささか長くなりすぎたので、【結論】を含め、稿をまとめておきたい。不足する部分は別記事としてupすることにしたい。

 

【まとめと結論】

①  2月のシンガポール閣僚会合までの日本の交渉姿勢は衆参農水委決議をギリギリ守るものであった。

②  その会合で日本は交渉姿勢を転換した。同時に日豪EPA交渉を加速させた。

③  TPP日米協議と日豪EPA交渉は同じ交渉方法である。

④  日豪EPA交渉は大筋合意したが、これは06年12月の全会一致の衆参農水委決議に反している。

⑤  日米共同声明ではセンシティビティの文言が外された。

⑥  日米首脳会談で日米共同声明が出た以上、文言に関わらず日米協議は新局面に突入した。

⑦  現在進められている日米協議は合意に至る可能性が高く、そうなるとTPP交渉は加速すると思われる。

⑧  日豪EPA大筋合意と同様、TPP日米協議合意は衆参農水委決議を破ることになる。

(おわり)

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