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2016年11月25日、環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室あてに、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方について(答申案)」に関する意見書を提出しました。

[意見]
生物多様性の保護は地球温暖化対策と並び、地球環境を守り、人類のみならず生物の命の多様性を守るための重要な取り組みです。名古屋・クアラルンプール補足議定書は、LMOが国境を越えて移動した際に、人の健康への影響を含めた生物多様性の保全および持続可能な利用(農業等)に損害を生じさせた際、誰が責任を負い、どのように生物多様性を修復し、被害を受けた人々を救済するか等を定めた重要なものです。
この補足議定書をLMOから生物多様性を守る制度として有効に機能させる必要があります。事業者側に立った限定的な範囲にとどまると、地球環境や人類の生存、持続可能な利用等生物の多様性に甚大な被害が生じます。国内においても補足議定書の目的に沿い、予防原則に基づいた政策が求められます。この補足議定書は、生物多様性条約およびカルタヘナ議定書の基本理念である予防原則に基づき合意されていますが、『国内措置の在り方について(答申案)』では、人の健康、持続可能な利用(農業等)を含めた生物多様性を守るためには不十分です。

・p5「1.基本的な方向性」について
本答申案では、復元措置はカルタヘナ法では不十分であると指摘したうえで、「復元措置について措置を講じる必要がある」としています。この措置の中に、汚染者負担の原則と、故意や過失がなくても事業者に賠償責任を負わせる無過失責任を明記すべきです。

・p6「2.『損害』について」について
本答申案では、損害の範囲について、限定的に考えることが適当であり、しかも現行法で定められている規制とのバランスも考慮する必要があるとして、基本的に既存の法律の枠内で対応するようになっています。しかし、LMOが引き起こす損害は何が起きるかわかりません。予防原則に基づいた考え方を制度として定めることが重要です。最初から限定的に扱うべきではありません。

・p6「3.措置命令の対象者について」について
本答申案では、「復元措置の対象は、違法に遺伝子組み換え生物等を使用等した者に限定することが適当」としており、極めて限定した範囲になることが示されています。これでは、実際に起こり得る生物多様性への損害に対応することはできません。違法行為の如何に関わらず、上市した者、開発した者、輸入者、輸出者等に遡って対象とすべきです。

・p7「4.『対応措置』について」について
本答申案では、対応措置について、実行可能で合理的なものとするのが適当としていますが、これも、実際に起こり得る生物多様性への損害に対応することはできません。LMOがもたらす損害には予測できないものもあり、最初からこのような限定を設けるべきではありません。

・全体について
以上、本答申は提案された措置のすべての項目で、事業者側に立った措置の内容になっていますが、本来の生物多様性条約およびカルタヘナ議定書、補足議定書の目的に沿い、人の健康、持続可能な利用、生物多様性の保護のため、予防原則に則った措置にすべきです。全面的な見直しを求めます。また施行時の基準作りにおいても厳格な基準を求めます。

以上

名古屋クアラルンプール補足議定書国内措置答申案

 

 

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